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医療保険がいらないと言われる理由を詳しく解説|実際に保険解約して気付いたこと

最近、よく医療保険不要論を耳にするのはわたしだけでしょうか?

ものすごい時間をかけて調べて、医療保険は必要か不要か、自分なりに納得できる落としどころをようやく見つけました。

そこで今回は、なぜ医療保険が必要ないと言われているのかについて詳しく説明します。

保険料に含まれる手数料は何%か、どれくらいの割合の人が保険に加入しているかなど、気になるデータも紹介していますので是非、最後までお付き合い下さい。

死亡保険ではなく医療保険

まず最初に誤解のないように改めてお伝えしておきますと、今回は医療保険に限った話です。

死亡保険(死亡保険=死亡したら2,000万円など)は残された家族の生活を支える保険ですので、自分にもしものことがあっても困る人がいないなら必要ないですよね。

逆に扶養家族のいる世帯主の場合は、遺族年金の不足分のうち、いくらぐらいを死亡保険で補えば良いかを考える必要があります。

上記の理由で死亡保険はわりと簡単に結論が出ると思いますが、けがや病気に備える医療保険は必要か不要かという話です。

医療保険が必要ないという主な理由

医療保険が必要ないという理由としては以下のようなものが挙げられます。

・健康保険・国民健康保険などがある
・高額療養費制度がある
・傷病手当金・休業補償給付金がある
・保険料を貯蓄にまわす方が合理的

それでは順に1つずつ説明していきますね。

公的医療保険の健康保険や国民健康保険とは

公的医療保険とは、医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことです。

日本では国民皆保険といって、すべての人が「健康保険」「国民健康保険」「共済組合」など、なんらかの公的医療保険に加入しています。

この公的医療保険によって最大でも自己負担は3割で済みます。

年齢 負担割合
小学校入学前 2割負担
小学生~満69歳 3割負担
満70歳~満74歳 2割負担(現役並み所得 3割負担)
満75歳以上 1割負担(現役並み所得 3割負担)

わたしがケガで「手術+6日間入院」をした場合を例に挙げると、医療費は55万円以上しましたが、3割負担なので入院中の食事代など含めても、実際の支払いは18万円弱になりました。

とはいえ18万円って結構な金額です。やっぱり医療保険に入っておいたほうが安心だわと思う気持ちはわかります。

でも、ご安心を。実際には18万円もかかりません。年収770万円以下の方なら半分以下に抑えられる可能性もあります。

それが高額療養費制度です。というわけで次は高額療養費制度について説明します。日本の公的医療保険って結構、手厚いです。

高額療養費制度とは

支払う医療費がひと月の上限額を超えた場合、その超えた額を支給してくれるのが「高額療養費制度」です。

医療保険不要論としては、これが1番の理由と考える方が多いと思います。

上限額は年収や年齢によって異なりますが、計算式は以下の表で確認して下さい。

出典:厚生労働省「高額療養費制度について」

例えば、69歳以下で月100万円の医療費がかかった場合の上限額は以下になります。

適用区分 上限額
年収約1,160万円~ 254,180円
年収約770~1,160万円 171,820円
年収約370~770万円 87,430円
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税者 35,400円

※ただし入院中の食事代や差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは自己負担となります。

年収約370~770万円の方なら、1か月の医療費上限は「8万7430円+入院中の食事・差額ベッド代」となります。

差額ベッド代とは?

差額ベッド代とは希望して個室など、1〜4人部屋に入室した場合にかかる費用「特別療養環境室」のことです。

同意書がない場合や、治療上または病院側の都合で特別療養環境室に入院する場合は、差額ベッド代は請求されないことになっています。

差額ベッド代を取らない病院もあります。

差額ベッド代平均金額

厚生労働省による「主な選定療養に係る報告状況」では、平成27年の差額ベッド代の1日平均額は6,155円です。

1人室 7,828円/日
2人室 3,108円/日
3人室 2,863円/日
4人室 2,414円/日

ちなみに差額ベッド代の最低は10円、最高は378,000円となっています。

さらに負担軽減される場合

さらに負担が軽減される場合もあります。

世帯合算
同じ世帯(同じ医療保険に加入している場合)の受診については、それぞれ支払った自己負担額を1か月単位で合算することができます。

合算額が一定額を超えたときは、超えた分が高額療養費として支給されます。

多数回
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から上限額が下がります。

上限額は、住民税非課税なら24,600円、年収約770万円以下の場合は44,400円です。

高額療養費制度の留意点

・公的医療保障の利かないものは対象外です。インプラント治療や不妊治療などの自由診療、先進医療も高額医療費の対象外です。

・1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合に支給されますが、月をまたぐ場合は注意が必要です。

ここまでのおさらい
・公的医療保険によって最大でも自己負担は3割
・現役世帯で年収770万円以下なら、1か月にかかる医療費上限は約8〜9万円+入院中の食事・差額ベッド代

つまり、医療費は55万円以上のわたしのケガ「手術+6日間入院」は、実質6万円ほどになったというわけです。(年収370万円以下です…)

傷病手当金・休業補償給付金とは

ここまでで、思ってたより医療費ってかからないんだなって思われた方も多いと思いますが、次に心配なのが病気やケガで収入が途絶えてしまうことですよね。

そこにも手厚い制度があります。それが傷病手当金と休業補償給付金です。

傷病手当金

傷病手当金は、業務外のケガや病気で会社を3日以上休み、給与の支払いが受けられない時に支給されます。

傷病手当金の計算式
1日あたりの支給額=支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月収を平均した額÷30日×2/3

4日目から最長1年6か月間、ざっくり給与の2/3の傷病手当金が支給されます。

労災保険(休業給付・休業補償給付金)

休業補償の給付金は、業務中や通勤時の災害によって業務ができずに給与の支払いが受けられなくなった時に支給されます。休業を開始して4日目から最長1年6か月間支給されます。

休業1日につき、給付基礎日額(平均賃金)の60%+休業特別支給金20%が支給されます。

4日目から最長1年6か月間、ざっくり給与の80%が給付されます。

保険料を貯蓄にまわす方が合理的

ここまで実際にかかる医療費と、病気やケガで収入が途絶えてしまった場合の手当金・給付金について説明してきましたが、いよいよ保険にメスを入れましょう。

わたしたちが支払っている保険料には、人件費や宣伝広告費など保険会社が事業を維持するための費用が当然含まれます。

付加保険料といいますが分かりやすくいえば、手数料です。

では実際に支払っている保険料の何%くらいが手数料になるか気になりませんか?

実は保険料の内訳を開示している保険会社があります。下の表はライフネット生命の終身医療保険の一部を抜粋したものです。

出典:ライフネット生命

保険料は純保険料と付加保険料で構成されています
・純保険料=保険会社が支払う保険金にあてられる部分
・付加保険料=保険会社が事業を維持するための費用

ざっくり計算して、支払っている保険料のうち21~22%ほどが手数料であることが分かります。

毎月1万円の保険料を支払った場合、年間約2万6千円は手数料なわけです。

これを貯蓄にまわせば10年で26万円。年収370万円以下のわたしの場合、3年に1回手術や入院しても、おつりが出るかも…というわけです。

ちなみにライフネット生命では「この情報を公開しているのは日本ではライフネット生命だけ」と説明されています。

保険料に含まれる手数料が何%なのか。この情報を公開しているのは、日本ではライフネット生命だけ(※)。このような情報開示は、私たちは「生命保険がわかる」情報を提供する、というマニフェストにもとづいています。
※ 当社調べ(2018年4月)
出典:ライフネット生命

2018年4月時点の情報とありますが、わたしが調べた限りでは2021年時点でもライフネット生命以外で情報公開している保険会社は見つかりませんでした。

他社が追随して公開しない理由は推して知るべし…。

実際、ライフネット生命の保険料は業界最低水準といわれています。他の保険会社では、いったい幾らの手数料が取られているかと考えると怖いですね。

みんなはどうしてる?

これまで「医療保険は当然入るもの」という考えの方でも、保険不要派に傾いている方もいるのではないでしょうか。

となると、次に気になるのは「みんなはどうしてる?」って話ですよね。

「よそはよそ、うちはうち」と言われても他の家庭は医療保険どうしてるの?と気になるのが私も含めて日本人の性。

結論から言えば、疾病入院給付金の支払われる生命保険の加入率は令和元年で73.1%です。

平成25年 平成28年 令和元年
加入率 74.0% 72.1%% 73.1%

入院時の医療費等への備えとして必要と考える疾病入院日額の平均は令和元年で11,000円、一方で生命保険に加入している人の疾病入院給付金日額の平均は9,800円です。

必要額 加入額
全体 11,000円 9,800円
男性 12,400円 10,900円
女性 10,000円 9,100円

まとめると、73.1%の人が生命保険に加入していて、加入している生命保険の疾病入院給付金日額の平均は9,800円です。

ちなみに、ガン保険・ガン特約の加入率は全生保で42.6%です。

参考:公益財団法人 生活保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」

まとめと解約して気付いたこと

まとめ

・健康保険、国民健康保険によって最大でも自己負担は3割で75歳以上なら1割負担になる(2021年現在)

・高額療養費制度によって現役世帯で年収770万円以下なら、1か月にかかる医療費上限は約9万円以下におさまる(差額ベッド代・食事代はのぞく)

・病気やケガで収入が途絶えてしまった場合には、4日目から1年6か月のあいだ、約66~80%の手当、給付金が支給される

・支払っている保険料のうち21~22%ほどは手数料である(大手保険会社はさらに高いことが予想される)

・73.1%の人が生命保険に加入していて、加入している生命保険の疾病入院給付金日額の平均は9,800円である

以上を踏まえて、わたしの出した結論ですが基本的には医療保険は必要ないという意見に賛成です。

にも関わらず、医療保険に加入しています。しかも解約したにも関わらず加入し直しました(笑)

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わたしは生活防衛資金として、生活費の2年分以上の現金はいつでも引き出せるようにしてあります。それなりのケガや病気をしても破産することもないです。

老後に向けて資産最大化を目指すべく医療保険は合理的に考えて必要ないと判断しました。

保険を切ろうと決めた途端、1ヶ月分ですら支払うのが勿体なく感じて速攻で保険会社に連絡して解約しました。

最初の1、2ヶ月はこれで貯蓄が増やせるぞとウキウキでしたが、ある時、乳がんになった方が手術とその後の通院など治療などにかかった費用の詳細を書かれている記事を読みました。

通院期間が結構長いなと感じたのと、病院までの交通費、ウィッグなど治療費以外にもそれなりにお金がかかるんだと改めて気付いて、それまでのウキウキが少しモヤモヤした不安に変わります。

わたしの性格上、手術とかで医療費を支払って一時的には貯蓄がマイナスになっても、また翌月から増やせれば我慢出来ます。

でも通院で4年も5年も少しずつでも貯蓄が削られるのは、たとえ払える金額だとしてもストレスが大きいかもと思い始めました。

そんな矢先に、乳がん検診で要経過観察との結果が。(結果は問題なかったですが)

ここで改めて合理性だけでなく、はじめて自分の感情と向き合えました。

くっそ、保険解約するんじゃなかったー!!って心底、思った訳です(笑)

もし病気になった時に、病気は辛いわ、お金はかかるわだと心身共にダメージが大き過ぎると思い知らされました。

ここからは葛藤です。保険…もっかい入る?いやいや、何のために解約したのよ。保険代を貯蓄にまわすことが合理的に最適解な訳だし…と。

散々ウジウジ悩んだ結果、医療保険に加入し直しました(笑)

病気になっても家計が破綻することがないことも、医療保険より貯蓄にまわした方が合理的なことも充分に理解はしていますが、それでも病気になった時のことを考えると、モヤっとした不安が拭えないんです。

掛け捨ての慰め程度の給付金しか出ないような1番安い医療保険に加入し直したところ、見事にモヤモヤが解消しました。

まぁ結果として保険料も半分以下の金額にはなりましたし、色々含めて納得して加入しているので今のところ、それなりには満足しています。

感情とはなんとも厄介で不合理なものですね。

さて最後に。

医療保険、必要ですか?不要ですか?